230ccの小柄な車体で老若男女問わず人気のW230シリーズ。
初めてのバイクとしても安心できる車両ですが、購入を悩んでいる方は是非カワサキプラザのスタッフが徹底解説するこの記事を参考にしてみて下さい!

W230・MEGURO S1のエンジンについて
232cc空冷単気筒SOHCエンジンを搭載しています。
空冷、SOHC、さて何のことやらという方に向けて、簡単に解説します。
まず空冷について、現在主流のエンジンは『水冷』と『空冷』の2種類があります。
これは爆発を繰り返し数百度の熱を帯びるエンジンをどう冷やすかの違いになりますが、空冷エンジンは走行した時の風でエンジンを冷やし、水冷エンジンはエンジン内部を循環する冷却水で冷やす構造です。



どちらもメリットデメリット、得手不得手がありますが、空冷エンジンは冷却効率が落ちますので、高主力、大排気量のエンジンにはあまり向いていません。
その反面、冷却水やラジエーターといった部品が必要ない為、軽量でシンプル、構成部品も少なくすることが出来ます。
部品点数が多くない=故障をする箇所が減る、消耗品として交換が必要なものが省かれる、とも言えますね。
W230のようにハイパワーやスピードを求めるバイクではない場合、シンプルで軽量かつクラシカルなデザインになる空冷エンジンがぴったりなんです。
さて次に、SOHCとはなにか、略さずいうと『シングル・オーバー・ヘッド・カムシャフト』です。
カムシャフトってなにか…まで解説するとキリが無いのでざっくりと説明します。
エンジンの形で現在主流なのはSOHCとDOHC、カムシャフトがシングル(S)かダブル(D)か。
4ストロークエンジンは吸気→圧縮→爆発→排気をくりかえしていますが、吸気をするバルブと排気をするバルブを動かすシャフト(軸)が1つで賄っているか、独立した2つかの違いです。
DOHCは主に高回転で真価を発揮するエンジン、対してSOHCは低回転での力強いトルクを発生させます。
またDOHCエンジンは一般的に高出力、高速度の為に進化したエンジンです。
Z1等のサイドカバーエンブレムにDOHCと書かれていますが、これは当時のスポーツバイク黎明期にはDOHCである=ハイスペックだというアピールの為に冠せらたエンブレムということですね。

かといってSOHCが遅れていて低性能のエンジンというわけではなく、しっかり良さがあります。
SOHCエンジンの良いところ、これも空冷水冷と共通しているところですが、シンプルな構造で壊れづらい、低速域を得意とする点ですが、回して走るバイクではないW230には乗りやすくトルクフルなSOHCエンジンがぴったりです。
トルクは排気量に依存しがちですが、230ccの低排気量とはいえども低回転に強いSOHCなら街乗りやトコトコ走るスタイルにはぴったりです。
他社の製品ですが、世界的に信頼性の高いスーパーカブや林道での圧倒的な走破性を誇るセロー等もSOHCエンジンを採用しています。
SOHC、DOHCはどちらも一長一短、乗るシチュエーションや求める性能で選んで頂ければと思います。
W230はサーキットや峠を攻めるような走り方や、速度域が高い状態を維持してロングツーリングをするといった用途の車両ではありませんので、空冷SOHCというエンジンはWにはピッタリと言えます。
先代モデルESTRELLAと比較してみると
さてここまでW230・MEGURO S1のエンジンについて説明をしました。
文章が多くて分かりづらい点も多いかったと思いますので、ここからは画像多めでESTRELLAとの比較をしてみます。
根強い人気を誇るESTRELLA。
1992年から2017年までの25年に渡り生産されていたロングセラーモデルです。

メッキや外装の質感は当時の車両は手が込んでいます。
出力特性も非常に似ており、馬力、トルク、それぞれの最大回転数共にほぼ同じ数値となっています。
燃料タンク容量は13Lから11Lに減っていますが、燃費がWMTCモード値(実燃費に近い計測方法)でESTRELLAが31.5kmなのに対しW230は40.5km、航続距離ではW230に軍配が上がる計算です。




ヘッドライトはハロゲンバルブからLEDに変更されています。
レンズに直接カットラインが入っていましたが、W230はカットラインの無いマルチリフレクタータイプです。


ポジションについて比較します。
ESTRELLAのほうがハンドルが少し低くなっていますが、それほど大きく差を感じませんでした。
シートの座り心地はESTRELLAの方が柔らかく座りやすい印象、W230は固めで角を感じる座り心地です。
足付きは若干W230の方が高いかな?というくらいでそれほど変わりません。


フロントブレーキはどちらもディスクブレーキですが、リアはドラムからディスクに変更されました。
さらにW230はABSを装備していますので、安全性は向上しています。


その他フレームなども全く別の構造になっていますが、性能面や乗り味に関係するところをメインに比較しました。
カワサキの補修部品は製造後おおよそ10年経過すると、追加生産もされなくなってきます。
ESTRELLAは生産終了から既に8年経過していますので、部品が取れなくなるようになるのもそう遠くはありません。
また状態の良いファイナルエディションは業者オークションで86万円で落札されたこともあり、中古相場は総じて新車価格よりも高くついている傾向です。
どちらも良い車両ですが、ご購入の際にはこの点も考慮されると良いと思います。
閑話休題・カスタムの参考になる小ネタ
ESTRELLAのメッキ感がどうしても好きという方に朗報です。
写真の撮影中にダメもとでESTRELLAのフロントフェンダーをW230に付けてみたところ、なんと無加工で取付けが出来てしまいました。

W230の方がショートですが、バランスはおかしくありません。
モーターサイクルショーでデイトナのカスタム車両が話題になっていましたが、そちらは前後フェンダーをメッキ加工をされているそうです。

メッキ加工は難易度も施工費用も高い作業になりますので、流用であれば20,000円程で済ませられてしまいます。
ただ流用される場合は自己責任となりますのでご注意下さい。
ちなみにリアフェンダーはフレームの構造が全く違うので流用不可です。
MEGURO S1はW230とどこが違うの?
ここまでW230をメインにして説明してきましたが、メグロS1とW230はどこが違うのかのご説明です。
メグロS1は川崎重工が二輪製造に取り組んだ際に吸収合併した目黒製作所が製造していた車両の復刻版です。
メグロやWの詳しい内容はこちらから。

メグロは1924年から100年以上続く伝統あるブランドです。
さて、メグロS1とW230、その違いはデザインと拘りです。

エンジンやフレーム、ホイール等は共通部品ですので、走行性能に差はありません。


実はWとメグロはタンクだけで部品価格が倍くらい違います。
W230のタンクは各色税抜き56,200円なのに対しメグロS1は税抜き121,000円!
ここだけで64,800円の違いです。
さらにメグロにだけ付属しているニーパッドが両側合わせて17,820円、これだけで車体価格の差は埋まってしまいますね。

さらに伝統のメグロエンブレム。
着色は職人が一つ一つ手塗りで仕上げているというこだわりです。
何度も値段の話になってしまいますが、このエンブレムも当然高価となり、片側税抜き15,000円
拘りとクオリティーを考えると納得の金額ですね。
下の画像はメグロK1という1960年代頃の車両のエンブレムです。
変わらないデザインが歴史を感じさせます。

1つとして同じものが存在しないエンブレムや費用度外視でメッキを施したタンクなど、こういった特別感がW230とメグロS1の違いになります。
W230が税抜き585,000円、メグロS1が税抜き655,000円、価格差は70,000円です。
カワサキプラザ茅ヶ崎の在庫状況について
2025年現在のカワサキプラザ茅ヶ崎の在庫状況です。

メグロS1
在庫僅かですが即納車があります

W230 パールアイボリー × エボニー
複数台在庫があります。
即納可能です。

W230 メタリックオーシャンブルー × エボニー
複数台在庫があります。
即納可能です。
在庫状況は日々変わりますので、詳細は店舗まで直接お問い合わせ下さい。